活動の理念
「かわいそう」ではなく「愛おしい」で

ユニークドッグはオンリーワンそしてプライスレス
かけがえのない家族になる命、その価値はプライスレス
理想の家族を選ぶだけではなく、理想を目指すサポート
ハンディも個性、ユニーク・ドッグと呼ぼう
(1)生まれつきのハンディや商品価値としてのマイナス評価も「個性」として捉える「ユニーク・ドッグ」
純血種には、主に審美的な観点から決められた規格(スタンダード)が定められています。しかし、例えば、単色の被毛に白い模様が混じっている「ミスカラー」、顔の被毛の模様が整っていない「面づれ」、更には「小さければ小さいほど良い」といった消費者嗜好に合わないオーバー・サイズなどの特徴のある犬は、一般的なペットの流通プロセスから外れてしまうことがあるのです。しかし、そういった見た目でのマイナス評価は、長く一緒に暮していくパートナーとなる資質とはかかわりのないものです。
その犬に産まれながらのハンディや、商品価値としてのマイナス評価があったとしても、それを「個性」として捉え、「ユニーク・ドッグ」と呼んでいます。
犬たちを「商品」ではなく「生命」として捉え、「販売」ではなく「生命のバトンタッチ」として譲渡していく取り組みです。「生命のバトンタッチ」で、最後にバトンを受け取ってくれる「アンカー」となるのは「飼い主ファミリー様」です。
(2)譲渡時にご負担いただく費用について
日本では、何らかの理由で不用とされた犬や猫を保護して、新しい家族を見つける活動は、社会通念上も法律(動物愛護法)でも、ボランティアと位置づけられてきました。
ボランティアとして活動している動物保護団体は、保健所に第二種動物取扱業の登録を行うことが求められます。そして、第二種の場合には、保護犬や保護猫の引き受け家族から受け取れる譲渡金額は、感染症予防のワクチン代や避妊・去勢手術費用、交通費の実費までとされています。
しかし、保護活動では、上記以外にも、シェルターの光熱費や水道代、フード代、トリミング費用、スタッフの人件費などがかかっています。
保護活動を継続するためには、それらの必要経費を賄わなければなりませんから、第二種に認められている以上の金額を、譲渡金として受け取りたいとするのであれば、動物愛護法の規定では、ペットショップと同じ、第一種動物取扱業の資格を取得しなければなりません。
私たちは、法令順守の立場から、第一種動物取扱業の資格を取得した上で、保護犬をお引き受けいただくご家族様から「譲渡金」をいただいていますが、シェルターでの保護活動にかかる費用の全てを「譲渡金」に反映することは、現実的にはできません。
日本には「ボランティアは、無償で行うもの」という社会通念があるため、「譲渡金」の金額を多く設定することが難しいのです。最近は、かつての「保護犬相場」とされていた金額よりは多く設定されるようになってきてはいますが、「保護活動なのに、金儲けをしている」と言われることも、少なくありません。
不足する運営費をまかなうために、最近は、保護犬カフェを運営したり、譲渡時に用品やフードなどを販売するといった事業収入を目指す保護団体も出てきていますが、それは、「脱・犬猫ボランティア」、「ソーシャル・ビジネス」としてのスタンスで、保護活動に取り組もうとする動きだと考えています。
譲渡金は、引き受けていただく保護犬にかかった費用をカバーするためだけのものではありません。老犬だったり、何らかのハンディがあって、ご縁に恵まれない犬たちを、シェルターで養っていくためにも、使わせていただくものであることを、ご理解いただきたいのです。
また、改正動物愛護法では、保護団体にも、犬一頭当たりの飼養面積や世話をする人数といった数値規制が適用されるので、それらの規制を満たすためには、これまで以上に費用がかかってくることになります。
「理想の家族を選ぶ」だけではなく、「理想の家族になる」ためのサポート
保護団体に共通する目的は、受け入れ環境が整っている理想的なご家族を飼い主として選ぶことです。そのために、様々な条件を設けていますが、それらは、保護活動を通じて経験したことを踏まえて、決められたものです。
高齢のご家庭への譲渡に関して、上限の年齢制限を設けているのは、「高齢者が健康を損ねたために飼えなくなってしまった犬を引き取るケースが少なくない」からです。あるいは、同棲中のカップルには譲渡できないとしているのは、「別れることになった時に、どちらも飼っていた犬を連れて行きたくないということで、保護団体が引き取ることになった」といったことを経験しているからです。
保護団体は、常に「犬がしあわせになる」ことを目指しています。そして、「犬がしあわせなら、飼い主もしあわせになる」ことが理想です。しかし、「犬のしあわせ」ばかりを追い求めると「飼い主のしあわせ」にまで、考えが及ばなくなります。
最近、軽度の知的障害などを持つ方たちが一緒に暮らすグループ・ホームが、そこここで開設され始めています。そういったグループ・ホームでは、利用者の方たちが犬と一緒に暮らすことを目指していますが、保護犬を迎えたいと望んで、保護団体に相談しても、ことごとく断られてしまうと聞かされました。
私どもは、これまでに、要請をいただいたふたつのグループ・ホームに、保護犬を提供させていただきました。
もちろん、最初に声をかけていただいた時には、とても悩みました。しかし、グループ・ホームの受け入れ環境や利用者の方々についての情報をいただき、最終的には、譲渡を決めました。ホーム・サイドからは、「譲ってもらえるのなら、どんな犬でもかまわない」と言われましたが、利用者の方たちと仲良く暮らせる資質を持っているかどうかを考えて、サイズは大きめですが、しっかりした体格の成犬、人なつっこくて、穏やかな性格の犬を選びました。「ソウルメイト・ドッグ」として、利用者の方たちに可愛がっていただき、しっかりとお役に立っているようです。
そのような経験から、保護団体として、理想のご家族を選ぶだけではなく、どうしたら、そのご家族のライフスタイルに合った犬を選んでもらえるかをお手伝いすることも、大切なのではないかと考えるようになりました。
「犬のしあわせ」を優先する気持ちに変わりはありませんが、そのことばかりに目が行ってしまうと「過保護団体」になりかねません。犬という動物は、本来、人の役に立つからこそ、パートナーとして受け入れられてきたわけですから、かけがえのない家族の一員となった今でも、「人が主、犬は従」という関係性であるべきだと考えています。